喉の違和感・つっかえ感、その原因は? 耳鼻科医が5つの原因と受診の目安を解説
「喉に何かが引っかかる」「飲み込むときにつかえる感じがする」「イガイガして咳払いをしたくなる」——そんな喉の違和感で受診される方は、耳鼻咽喉科の外来でとても多くいらっしゃいます。
「もしかして、がんでは…」と不安になる方も少なくありません。ただ、実際には喉の違和感の原因はがん以外であることが多く、いくつかの身近な原因が隠れていることがほとんどです。とはいえ、なかには早めに調べておいたほうがよいサインもあります。
この記事では、当院の院長・Drはなまるが、喉の違和感・つっかえ感の代表的な5つの原因と、受診の目安、ご自宅でできるセルフケアまで、耳鼻科医の視点でくわしく解説します。
そもそも「喉の違和感・つっかえ感」とは?
のどに「何かが詰まっている」「玉のようなものがある」と感じるのに、飲食物はふつうに飲み込める——こうした症状は咽喉頭(いんこうとう)の違和感と呼ばれ、医学的にもよく知られた訴えです。「のどの異物感」「つかえ感」「ヒステリー球」などと表現されることもあります。
実際にはのどに物が詰まっているわけではなく、のどの粘膜の炎症や刺激、あるいは感覚の過敏さなど、さまざまな要因で「つかえる感じ」が生じます。感じ方には個人差があり、疲れやストレスがあると強く感じやすくなることもあります。
一時的なもので自然におさまることも多いのですが、長く続く場合や、次に挙げる「気をつけたいサイン」がある場合は、一度耳鼻科で調べておくと安心です。
まず確認したい「早めに受診したいサイン」
喉の違和感の多くはがん以外の原因ですが、まれに咽頭がん・喉頭がん・食道がんなどが隠れていることがあります。次のような症状をともなう場合は、念のため早めに耳鼻科で調べておきましょう。
とくに痛みのない首のしこりは見逃されやすいサインです。また、のどの奥(上咽頭や喉頭)は、ご自身で鏡を見てもほとんど確認できません。耳鼻科では鼻から細いカメラ(ファイバースコープ)を入れて奥まで観察できますので、気になる症状が続く場合はご相談ください。
喉の違和感・つっかえ感、主な5つの原因
原因①:後鼻漏(アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎)
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎(ちくのう症)があると、鼻水がのどの奥へ流れ落ちます。これを後鼻漏(こうびろう)といい、のどを刺激して違和感や引っかかり、咳払い、痰がからむ感じの原因になります。喉の違和感のなかでも、とても多いタイプです。
横になったときや朝起きたときに強く感じやすいのが特徴です。鼻の奥をカメラで見ると、のどへ流れる鼻水が確認できることがあります。治療は、鼻うがいや、もとになっている鼻炎・副鼻腔炎のケアが中心です。鼻の症状(鼻づまり・鼻水)をあわせて整えることが、のどの違和感の改善にもつながります。
原因②:咽頭アレルギー
花粉症などのアレルギーは、鼻だけでなくのどにも症状が出ることがあります。のどがイガイガする、むずむずする、かゆい感じといった違和感で、意外と多く、長引く咳ばらいの原因になることもあります。
スギ・ヒノキ花粉やハウスダスト、ダニ、ペットなど、原因となるアレルゲンに触れたときに悪化しやすいのが特徴です。季節性の方は花粉の時期に、通年性の方は一年を通して症状が出ます。のどの症状もあわせてご相談いただくと、抗アレルギー薬などで対応しやすくなります。
原因③:咽喉頭逆流症(胃酸の逆流)
胃酸がのど(咽喉頭)のあたりまで逆流し、粘膜を刺激して違和感やつかえ感を起こすものです。いわゆる逆流性食道炎に近い状態で、専門的には咽喉頭逆流症(LPRD)とも呼ばれます。胸やけ・げっぷ・酸っぱいものが上がる感じ・声のかすれ・慢性的な咳払いをともなうこともあります。
食べてすぐ横になる、就寝前の食事や夜食、脂っこい食事・食べすぎ、アルコールやカフェイン、肥満などで起きやすくなります。カメラでのどの一部が赤く腫れて見えることがあり、胃酸を抑えるお薬に加えて、生活習慣の見直しで改善をめざします。喉の違和感の原因として比較的多いものです。
原因④:上咽頭炎
鼻とのどの境目にある「上咽頭(じょういんとう)」という部分の炎症です。かぜのあとに長引いたり、慢性的な炎症になったりすると、のどの違和感や後鼻漏に加えて、頭が重い・肩がこる・だるいといった不調につながることがあると考えられています。
鼻から入れるカメラで上咽頭の状態を確認します。治療には、鼻うがいや、上咽頭に直接薬(塩化亜鉛など)を塗るBスポット療法(EAT・上咽頭擦過療法)などがあります。処置の際は少ししみることがありますが、繰り返すうちに炎症が落ち着いていくことが期待されます。
原因⑤:咽喉頭異常感症
鼻の病気・アレルギー・逆流・上咽頭炎・甲状腺の病気など、考えられる原因をひととおり調べても、はっきりした異常が見つからない場合に、この診断になります。いわば「消去法」でたどりつくもので、体の使い方や感じ方による機能的な症状と考えられています。
症状を気にしやすい方や、疲れ・ストレスがたまっている方に多いとされます。検査で「重い病気はない」と分かるだけで安心し、症状がやわらぐことも少なくありません。経過をみながら漢方薬を用いることもあり、気になり続ける場合には心療内科などと連携することもあります。
耳鼻科ではどんな検査をするの?
喉の違和感で受診されると、まず問診で「いつから」「どんなときに強いか」「ともなう症状(胸やけ・鼻症状・声のかすれなど)」をお聞きします。そのうえで、鼻から細いカメラ(ファイバースコープ)を入れ、上咽頭からのど・喉頭(声帯)までを直接観察します。検査は数分で終わり、痛みはほとんどありません。
必要に応じて、アレルギー検査や甲状腺の検査(血液検査・エコー)、胃の症状が強い場合は消化器内科での胃カメラなどをご案内することもあります。原因によって治療法が変わるため、「どのタイプの違和感か」を見きわめることが大切です。
よくあるご質問
喉の違和感は、放っておいて大丈夫?
喉の違和感の多くは、命にかかわるものではありません。ただし、後鼻漏や咽喉頭逆流症、上咽頭炎などは、放置すると症状が慢性化して長引いたり、慢性的な咳や声がれ、睡眠の質の低下につながったりすることがあります。原因に合った対処を早めに始めることで、こじれる前に楽になりやすくなります。
また、「ずっと気になって、そのたびに強く意識してしまう」という状態が続くと、症状をより強く感じやすくなる悪循環に陥ることもあります。まずは原因をはっきりさせ、「重い病気ではない」と確認することが、安心と改善への第一歩です。数週間たっても違和感が続くようであれば、一度耳鼻科でのどの奥までしっかり確認してもらうとよいでしょう。
医師からのまとめ
喉の違和感・つっかえ感の多くは、後鼻漏・咽頭アレルギー・逆流・上咽頭炎・咽喉頭異常感症といった、がん以外の身近な原因によるものです。原因によって対処が変わるため、「どのタイプの違和感か」を見きわめることが、改善への近道です。
一方で、声のかすれ・血の混じったたん・飲み込みにくさ・首の痛みのないしこり・体重減少などがある場合は、念のため早めに調べておくことが大切です。喉の奥はカメラで確認できますので、気になる症状が続くときは、我慢せずご相談ください。
※本記事は当院の動画をもとに、一般的な情報をまとめたものです。症状の原因や適切な治療は一人ひとり異なり、診断・治療は医師の診察のうえで行われます。気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。