副鼻腔真菌症
副鼻腔真菌症とは?
副鼻腔真菌症は、真菌(カビ)の感染が原因で起きる副鼻腔の炎症のことを指します。病態によって「急性浸潤性」「慢性浸潤性」「慢性非浸潤性」「アレルギー性真菌性副鼻腔炎」の4つに分類できますが、ここでは主に頻度が最も高い「慢性非浸潤性」(その他の部位に浸潤しない大人しいタイプ)について解説します。
基本的に薬物治療で改善することはなく手術治療が勧められる病気です。そのため副鼻腔炎の薬物治療を3ヶ月以上継続しているのに改善しない場合はこの病気を考慮する必要があります。
目次
- 症状
- 原因
- 検査
- 治療
副鼻腔真菌症の症状
- 片側の鼻のつまり(鼻閉)
- 鼻汁(たまに悪臭や血まじり)
- 頭痛、頬部痛、歯痛
基本的に真菌(カビ)の感染は片側だけのことが多いため鼻閉や膿のような汚い鼻水も片側だけから出ることが多いです。また稀に悪臭がしたり、鼻水に血が混じることや真菌の感染の炎症により、頭痛、頬部痛、歯痛が生じることもあります。ただ以上のような症状は特になく、健診などで偶然撮影したCT検査などで発見される人も少なくないです。
副鼻腔真菌症の原因
- アスペルギルスやカンジダ、ムコールなどの真菌(カビ)
通常真菌の感染症はステロイド薬や免疫を抑える薬、抗がん剤を長期間使用している人や糖尿病の人など免疫力が低下している人での感染が多いですが副鼻腔真菌症では免疫力が正常な人にも発症することが多いです。
副鼻腔真菌症の検査
- 鼻鏡検査
鼻鏡を用いて肉眼で鼻の中を観察します。真菌の塊が観察されることがあります。
- 電子内視鏡検査
電子内視鏡(鼻ファイバースコープ)を用いて、鼻の腫れ、鼻水や後鼻漏の性状、真菌の有無などを観察します。
- 画像検査
レントゲンやCT検査、MRI検査などを行い副鼻腔炎を調べます。特に副鼻腔真菌症ではCT検査が有用です。
副鼻腔真菌症の治療
- 手術
副鼻腔真菌症は薬物治療では改善しないため内視鏡を用いた手術が基本となります。副鼻腔真菌症のほとんどは大人しいタイプ(非浸潤性)ですが、放置し時間が経過すると目や脳の周辺組織に進行するタイプ(急性浸潤性、慢性浸潤性)に移行してしまう場合があるため、基本的には放置せずに手術治療を受けることをお勧めします。