血管運動性鼻炎
血管運動性鼻炎とは?
血管運動性鼻炎は、鼻づまり、鼻水、くしゃみなどの症状が現れる病気です。症状はアレルギー性鼻炎に非常に似ていますが、血管運動性鼻炎は、アレルギー検査などには反応がなく、原因がはっきりしない鼻炎です。治療はアレルギー性鼻炎と同様の薬を使用されることが多いですが、効果はアレルギー性鼻炎より乏しいことが多いため「アレルギー性鼻炎の薬を使用しているのにあまり改善しない」という方は実は血管運動性鼻炎かもしれません。
目次
- 原因
- 検査
- 治療
- まとめ
血管運動性鼻炎の原因
- 寒暖差(寒い外から暖かい部屋への移動など)
- 精神的なストレス
- タバコの煙
- 飲酒
- 妊娠など
血管運動性鼻炎は、アレルギー性鼻炎のようにアレルゲン(ダニ、花粉、ハウスダストなど)などの原因をはっきりと特定することはできません。寒暖差(寒い外から暖かい部屋への移動など)、精神的なストレス、タバコの煙、飲酒、妊娠などの様々な要因がきっかけとなり鼻の自律神経(無意識に作用する神経)が乱れ、鼻の血管が広がり、粘膜が腫れることで鼻づまり、鼻水などの鼻炎の症状がおこるのではないかと考えられています。ちなみに気温の寒暖差でいえば日中の寒暖差が7度以上あると症状が出やすくなりますので季節の変わり目の春や秋は特に注意です。
血管運動性鼻炎の検査
アレルギー性鼻炎と同じ検査を行います。 鼻の症状の問診や診察を行った後、各種検査を行い、好酸球やアレルギー反応が見られない場合は、血管運動性鼻炎と診断されます。
- 鼻鏡検査
鼻の中を観察します。
- 鼻汁好酸球検査
鼻炎の原因がアレルギー性かどうかを判断するための検査です。鼻水に含まれる好酸球の数を顕微鏡で観察し、アレルギー性鼻炎の可能性を調べます。検査で陽性ならアレルギー性鼻炎を疑い、陰性なら血管運動性鼻炎を含むその他の鼻炎を疑うことになります。鼻汁好酸球検査は、アレルギー性鼻炎の診断に役立つ指標となりますが、具体的なアレルギーの種類までは判定できません。
- アレルギー検査
血液検査によりアレルゲン(花粉やダニ、ハウスダストなど)を特定する検査です。血管運動性鼻炎ではアレルゲンを特定できないことが多いです。当院では主にドロップスクリーン検査を採用してます。ドロップスクリーン検査は、指先に小さな傷をつけて少量の血液を採取し、41種類のアレルゲンを調べることができる検査です。メリットは痛みがほぼなく、当日結果が出るため1回の受診で検査と診断がつく所です。
血管運動性鼻炎の治療法
自律神経を整える
血管運動性鼻炎は鼻の自律神経の乱れで生じると考えられているので自律神経を整えることが重要です。
- 十分な睡眠
- バランスの良い食事
- アルコールを飲み過ぎない
- たばこを吸わない
- 適度に運動をするなど
寒暖差を少なくする
寒暖差がきっかけで血管運動性鼻炎症状が出たり悪化することがあるので対策をしましょう。
- マスクをする
寒暖差の影響を少なくするためにマスクがオススメです。急に冷たい空気が鼻に入ると鼻の自律神経が乱れやすくなります。しかしマスクをすると常に暖かく、加湿された空気が鼻に入るため、冷たい空気が直接鼻に入ることを防ぎます。
- 首、手首、足首を温める
一般的に「首」とつく場所が冷えると体も冷えやすくなり、寒暖差の影響を受けやすくなります。そのため、首、手首、足首はできるだけ温めましょう。
首元はマフラー、ストール、タートルネックなどの服を着てください。特に寝ている間は首は布団からも出ていて冷えやすいのでパジャマのインナーはタートルネックにするといいです。手首であれば手袋やリストバンドなどを、足首は靴下やレッグウォーマーなどを装着するといいでしょう。以上3箇所を冷やさないように注意してください。
- 入浴
入浴により体をしっかり温めます。40℃くらいの少しぬるい程度の湯に15分程度、時間をかけて身体を温めてください。3つの首はもちろん、全身が温まります。一人暮らしの人とかだと浴槽にお湯溜めるのが勿体無いと言ってシャワーで済ましてしまう人がいますが、しっかり浴槽にお湯を張って入浴しましょう。やはり体の温まり方が違いますし睡眠効果も高まります。
- 薬物治療
血管運動性鼻炎の症状が強くなければお薬を使う必要は必ずしもありません。しかし症状でお困りの場合はステロイド点鼻薬、抗ヒスタミン薬などを使用します。これらは主にアレルギー性鼻炎に使用する薬です。実は血管運動性鼻炎と診断されても使う薬はアレルギー性鼻炎と大きく変わりません。しかしアレルギー性鼻炎と比較し血管運動性鼻炎ではその効果は乏しいとされています。
まとめ
血管運動性鼻炎の症状はアレルギー性鼻炎に似ているため正確な診断をするには専門医の診察と検査が必要となります。心配な方は耳鼻咽喉科を受診してください。