知らないと危険!睡眠時無呼吸症候群の3つの要注意症状
こんにちは、名古屋はなまる耳鼻科クリニックの院長の佐藤(Dr.はなまる)です。今回は、多くの方が見落としがちな「睡眠時無呼吸症候群」についてお話しします。この病気は「サイレントキラー」とも呼ばれ、自覚症状がないまま進行し、心筋梗塞や脳卒中など命に関わる病気を引き起こす可能性があるため、特に注意が必要です。
日本では推定300万人が睡眠時無呼吸症候群にかかっているとされていますが、そのうち治療を受けているのはわずか10%。残りの90%の人々は、症状に気づかずに放置しているのが現状です。今回は、この睡眠時無呼吸症候群の危険性を知り、早期発見・早期治療につなげるために、特に注意すべき3つの症状について詳しく解説します。
睡眠時無呼吸症候群とは?
まず、睡眠時無呼吸症候群について簡単に説明します。睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている間に繰り返し大きないびきをかいたり、呼吸が止まったりする状態のことを指します。この無呼吸状態が続くと、体に十分な酸素が供給されなくなり、脳や心臓に大きな負担をかけます。その結果、高血圧や糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞といった重篤な病気のリスクが高まります。特に症状が進行してしまうと、寿命を縮める原因となることがわかっています。
この病気の一番の特徴は、自覚症状がほとんどないことです。自分では「いびきはただの疲れから来るもの」と思い込んでしまうことが多く、知らぬ間に病状が悪化していきます。そのため、家族やパートナーに「いびきがうるさい」「呼吸が止まっている」と指摘された場合は、無呼吸症候群を疑うべきです。
睡眠時無呼吸症候群の原因
睡眠時無呼吸症候群の主な原因は、喉の空気の通り道(上気道)が狭くなることです。特に仰向けで寝ると、舌や喉の筋肉が重力で下がり、気道が狭くなり、無呼吸状態を引き起こします。また、肥満や飲酒も、喉の筋肉を緩め、上気道が狭くなる原因となります。
加えて、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎がある場合、鼻呼吸ができずに口呼吸をすることが増え、さらに症状が悪化する可能性があります。普段はいびきをかかない人でも、お酒を飲んだり疲れがたまっているときには、いびきがひどくなることがあります。
要注意な3つの症状
では、睡眠時無呼吸症候群を疑うべき3つの要注意な症状について見ていきましょう。
1. 激しいいびきや呼吸停止
家族やパートナーから「いびきが大きい」「呼吸が止まっている」と指摘されたことがある場合、無呼吸症候群の疑いがあります。いびきは、気道が狭くなると音が大きくなり、さらに呼吸が止まることもあります。特に、呼吸停止が確認された場合は、早急に医療機関を受診する必要があります。
自己診断の方法としては、睡眠アプリを活用することも有効です。いびきや無呼吸の状態を記録し、どの程度頻繁に起こっているのかを確認することができます。
2. 日中の異常な眠気
夜間に無呼吸が続くと、深い睡眠が取れず、その結果、日中に異常な眠気を感じることがあります。仕事中や運転中に急に眠気が襲ってくることがあり、交通事故のリスクも高まります。
眠気の度合いをチェックするために、エプワース眠気尺度というアンケートを使用してみると良いでしょう。日常のさまざまな場面でどれくらいウトウトするかを自己評価し、スコアが11点以上であれば、異常な眠気があると判断され、無呼吸症候群の可能性が高くなります。
3. 起床時の疲労感や頭痛
朝起きたときに疲れが取れていない、または頭痛がある場合も無呼吸症候群のサインです。特に、起床後すぐに消える30分以内に解消する頭痛は、睡眠中の酸素不足が原因と考えられます。もし、このような症状が頻繁に見られる場合、無呼吸症候群の治療を受ける必要があります。
治療法と自宅でできる対策
無呼吸症候群と診断された場合、治療法にはいくつかの選択肢があります。
1. CPAP(シーパップ)治療
空気の圧力を利用して気道を広げ、無呼吸を防ぐ装置を使用する治療法です。無呼吸症候群の治療として広く使用されており、特に重度の無呼吸症候群に効果的です。
2. マウスピース治療
顎を前方に押し出すことで気道を広げるマウスピースを装着する方法です。軽度から中等度の無呼吸症候群の患者に有効で、CPAPが合わない人にも使用されます。
自宅でできるセルフケア法5選
また、自宅でできる対策法として次の5つをお勧めします。
• 横向きで寝る
仰向けで寝ると気道が狭まりやすいので、横向きで寝ることで無呼吸を防ぐことができます。
• 減量
肥満が原因の人は、体重を減らすことで無呼吸の頻度を減らせる可能性があります。
• 節酒
アルコールは喉の筋肉を緩めて気道を狭めるため、飲酒を控えることで症状が改善されることがあります。
• 禁煙
タバコを吸うと喉の粘膜が腫れて気道が狭くなります。禁煙を心がけましょう。
• 睡眠薬を控える
睡眠薬を使うと、喉の筋肉がさらに緩み、無呼吸症候群の症状が悪化することがあります。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群は、放置すると命に関わる病気です。今回紹介した3つの要注意症状に心当たりがある方は、ぜひ医療機関での検査を受け、適切な治療を始めましょう。この記事が少しでも参考になったと感じた方は、ぜひご家族や友人にもシェアしてくださいね。