のどの違和感、つかえ感
のどの違和感とは?
「のどに何かが詰まった感じ」「ものが飲み込みにくい」「のどにひっかかる感じ」「のどが締め付けられる感じ」など、喉から胸にかけての違和感・異物感・圧迫感などを感じることです。原因としては咽頭炎・扁桃炎・喉頭炎などの炎症や逆流性食道炎、頻度は低いですが咽頭がん、喉頭がん、食道がんなどの初期症状の可能性もあります。またこれらの原因はないのに症状を感じる病気「咽喉頭異常感症」などの可能性もあります。のどの違和感や異物感が続く場合には早めに耳鼻咽喉科を受診して原因を確かめることが重要です。
目次
- 原因
- 検査
- 治療
のどの違和感の原因
- 咽頭炎、喉頭炎、扁桃炎
感染などによるのどの炎症によってのどの違和感を感じることがあります。炎症が強いと痛みも伴うことがあります。また口蓋垂(いわゆるのどちんこ)の上の方の違和感を感じる場合には上咽頭炎の可能性があります。
- アレルギー性鼻炎・慢性副鼻腔炎
アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎が原因で鼻水が喉におりる(後鼻漏)量が増えたり、ネバネバな鼻水になったりすることでのどにひっかかりを感じることがあります。
- 喉頭アレルギー
喉頭アレルギーは、アレルギー反応が喉頭(のどの声を出す部分)の粘膜で起こることにより、のどの症状が現れる状態を指します。原因物質としては、スギやヒノキといった季節性の花粉によるものや、ダニ、ほこり、カビ、犬猫などペットの毛・フケなどがあります。
- 逆流性食道炎
逆流性食道炎は、胃酸が食道や喉に逆流し、粘膜を刺激することが原因でのどの違和感を生じさせます。食道や喉の粘膜は胃の粘膜とは違い、胃酸の刺激から身を守る仕組みを持っていないため、胃酸に触れると炎症を起こします。この病気の典型的な自覚症状は、のどの違和感の他に胸やけや苦味や酸っぱみを感じる(呑酸=どんさん)です。特に、空腹時や夜間の胸やけが特徴的です。実はのどの違和感の原因の半分以上が逆流性食道炎と言われるほど頻度の高い病気です。
- がん
頻度としては稀ですが、咽頭がんや喉頭がん、の初期症状である可能性もあるので電子内視鏡検査で観察します。特に飲酒歴、喫煙歴のある高齢男性はリスクが高いので要注意です。ただ食道がんは耳鼻科の電子内視鏡検査では十分に観察できないため、胃カメラ(上部内視鏡検査)を受けることをお勧めします。
- 甲状腺の病気
バセドー病や橋本病、甲状腺の腫瘍などの甲状腺の病気が原因で甲状腺が大きく腫れたり、しこりができるなどして圧迫感を感じることがあります。
- 咽喉頭異常感症
十分な検査を行なっても特に明らかな原因がないのにのどの違和感を感じている状態です。神経質な人に多いと言われています。
のどの違和感の検査
- 電子内視鏡検査(ファイバースコープ)
電子内視鏡検査(ファイバースコープ)を使用して鼻からのどにかけて観察します。炎症やガンなどの腫瘍の有無を観察します。
- 首のエコー検査
首のエコー検査を行い、首の腫瘍や甲状腺の大きさ、しこりの有無などを検査します。異常が確認できた場合針でその異常部分の細胞を採取する(針生検)を行うことがあります。
- 血液検査
甲状腺の病気を疑う際に血液検査で甲状腺の機能異常を検査します。喉頭アレルギーを疑う場合にはアレルギーの原因の特定の際に行うことがあります。
- 画像検査
CT検査やMRI検査などで首の病的異常の有無を検査することがあります。
のどの違和感の治療
- 咽頭炎、喉頭炎、扁桃炎
軽症の場合には対症療法(抗炎症剤やうがい薬、トローチなど)で自然治癒しますが、症状が強い場合には抗生剤などを使用することもあります。また上咽頭炎の場合にはBスポット治療を行うこともあります。
- アレルギー性鼻炎・慢性副鼻腔炎
アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎に対する薬物治療を中心に行います。
- 喉頭アレルギー
アレルギー性鼻炎(花粉症)などと同様にアレルギーの薬である抗ヒスタミン薬を使用します。
- 逆流性食道炎
飲酒や肥満、食事内容(特に脂肪の多い食物や刺激物)、食後すぐの横になることなどが逆流性食道炎の原因となることがあるため、これらを改善することが重要です。特に食後2~4時間は食べ物が胃に残っているので、その間は横にならないようにしましょう。
また胃酸分泌を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬(PPI)やカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB))を用いて治療することがあります。これらの薬は胃酸を抑える作用があり、逆流性食道炎の症状を和らげます。
- がん
咽頭がんや喉頭がんの場合にはその進行度合いや性質により治療方法が異なります。専門医療機関で精密検査をしたのちに手術や抗がん剤治療、放射線治療などの中から最も適した治療法が選択されます。
- 甲状腺の病気
バセドー病や橋本病などの甲状腺機能の異常を起こす病気に関しては耳鼻科では治療は行わず、主に糖尿病内分泌内科にて治療を行います。当院でもそれら医療機関にご紹介します。
甲状腺腫瘍の場合は以下の通りです。良性の場合の多くは経過観察となります。ただし、腫瘍が大きく美容上気になる場合や圧迫症状が強い場合、あるいは悪性腫瘍の合併が疑われる場合などは手術を行います。悪性(がん)の場合は手術治療が基本となり、がんの種類や進行の程度、転移の有無、術後再発など、状況に応じて放射線治療や化学治療を併せて行います。最終的には専門医療機関の主治医が治療の判断を行い、それに従って治療が行われます。
- 咽喉頭異常感症
十分な検査の結果、のどの違和感の原因が明らかではないので基本的に経過観察となります。現時点ではがんなどの明らかな原因が無いことを理解すると安心してそれだけ症状が改善する人も一定割合います。治療を希望する場合は、半夏厚朴湯や柴朴湯といった漢方薬や向精神薬を用いることがあります。