鼻がつまる
鼻が詰まると寝づらかったり、仕事や勉強に対しての集中力も低下してしまいます。ここでは鼻つまりの原因とそれに対する治療法、自宅でできるセルフケア法などを紹介します。
鼻づまりとは?
鼻づまりとは、鼻腔と呼ばれる鼻の中の空間が狭くなり、空気の流れが悪くなることで起こる感覚です。鼻づまりの原因は、以下のように分類できます。
目次
- 原因
- 検査
- 治療
- セルフケア解消法
- まとめ
鼻づまりの原因
- 鼻粘膜の腫れ
鼻の中の粘膜が腫れることで、鼻腔の通りが悪くなります。これは、急性鼻炎(風邪など)やアレルギー性鼻炎(花粉症など)、副鼻腔炎、肥厚性鼻炎、妊娠性鼻炎などの病気によって起こります。他には血管収縮剤入りの点鼻薬の常用によっても起こります。
- 鼻水
炎症やアレルギーによって生じる鼻水により鼻の通りが悪くなります。粘膜の腫れを伴うことが多いです。鼻炎やアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などで起こります。
- 軟骨や骨などの構造異常
左右の鼻腔を仕切る鼻中隔が大きく曲がっていたり、下鼻甲介が腫れるなどして鼻の通りが悪くなっている状態です。鼻中隔湾局症や肥厚性鼻炎が原因になります。
- 鼻茸や腫瘍など
鼻の中に鼻茸(ポリープ様の構造物)ができていたり、鼻の中に腫瘍というできものが存在していると鼻の通りが悪くなることがあります。鼻茸は副鼻腔炎の炎症が悪化し発生する事もありますし、好酸球性副鼻腔炎という病気で多発的に発生することもあります。腫瘍では良性腫瘍と悪性腫瘍に分かれます。良性腫瘍では血管が豊富な血管腫や乳頭腫などがあります。悪性腫瘍では上咽頭癌に注意です。
- 鼻の中の異物
主に小さな子どもが好奇心から鼻にものを入れたりすることで起こります。鼻腔異物の種類は様々で、ビーズやBB弾、ドングリ、小石、紙切れ、果物、ボタン電池などが多いです。鼻腔異物が長期間放置されると、悪臭を伴う一側性の鼻漏が生じることもあります。小さなお子さんでは親が見ていない所で思いもよらない物を鼻に詰めていることがあるので注意が必要です。また、鼻腔異物が喉に落ちてしまうと、誤嚥(食べ物や異物が喉頭と気管に入ってしまうこと)を起こしてしまうこともあります。特に、ボタン電池は鼻の粘膜に強い刺激を与えて化学熱傷や鼻中隔穿孔(鼻の中の壁に穴があくこと)を引き起こす危険性があるため気づいたらすぐに耳鼻科を受診しましょう。
鼻づまりの検査
- 鼻鏡検査
肉眼的に鼻の粘膜の腫れ方、粘膜の色、狭さ、腫瘍、鼻茸の有無などを観察します。
- 電子内視鏡検査
鼻の電子ファイバーを用いて鼻の中を観察します。鼻茸や腫瘍、鼻水の性状、後鼻漏の有無、鼻中隔の曲がり方などを観察します。
- 画像検査
CT検査、MRI検査などで副鼻腔炎の詳細、鼻茸、腫瘍鼻中隔の曲がりの程度などを調べます。
- アレルギー検査
アレルギー性鼻炎を疑う際に行うことがあります。
鼻づまりの治療法
アレルギー性鼻炎
- 薬物治療
症状に合わせて抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬、ステロイド点鼻薬などを使用します。抗ヒスタミン薬には眠気の副作用が出ることがあります。眠気が少ない薬もありますのでご相談ください。ステロイド点鼻薬はステロイドが含まれていますが、副作用の心配はほとんどないと言われています。また市販の点鼻薬には血管収縮剤(多くはナファゾリン)が含まれており、2週間以上継続して使用すると逆に鼻つまりが悪化するため注意してください。(薬剤性鼻炎)もし現在血管収縮剤入りの点鼻薬を長期的に使用しているなら休薬することで症状は改善してきます
- 鼻処置&ネブライザー吸入療法
診察時に鼻水を吸引したり鼻を清掃した後、ネブライザー吸入療法でステロイド薬や抗ヒスタミン薬などを鼻全体に行き渡らせます。ネブライザー吸入療法は薬液を霧状に変化させるため、鼻の奥の届きにくい部分にまで薬液が届きます。
- レーザー治療
薬物治療でうまくコントロールできない場合や、薬を内服できない場合などにレーザー治療を行うことがあります。アレルギー性鼻炎や花粉症などの鼻水、鼻づまりなどに効果があります. レーザー治療は、鼻粘膜の表面をレーザーで焼くことで腫れていた粘膜は縮み、その結果鼻の中の空間が広がり鼻づまりが解消されます。効果の有効期間は1~2年ほどと言われています
- 手術治療
上記の治療で効果のない重症の方には手術が勧められます。アレルギーに関与した神経の過敏性を押さえる後鼻神経切断手術や構造的に鼻通りを改善させる粘膜下下鼻甲介骨切除術、鼻中隔矯正術が選択されることが多いです。
副鼻腔炎
- 薬物治療
抗生剤や去痰薬などを使用します。アレルギー性鼻炎も持ち症状を悪化させている人はアレルギー性鼻炎の薬も併用します。
- 鼻処置&ネブライザー吸入療法
診察時に鼻水を吸引したり鼻を清掃した後、ネブライザー吸入療法でステロイド薬や抗菌薬などを鼻全体に行き渡らせます。ネブライザー吸入療法は薬液を霧状に変化させるため、鼻の奥の届きにくい部分にまで薬液が届きます。
- 手術療法
薬物療法などを長期的に使用しても改善が見られない場合には手術療法が選択されることがあります。その場合には市中病院へ紹介します。
鼻中隔湾曲症
鼻中隔の曲がりが原因のため手術が選択されます。
好酸球性副鼻腔炎
- 薬物療法
ステロイド薬の内服やステロイド点鼻薬などが使用します。ステロイド薬内服は効果は高いですが、副作用も出やすいので長期的には使用しづらい薬です。代わりにステロイド点鼻薬を使用することもありますが、内服に比べると効果は弱いです。
- 手術療法
内視鏡を用いた手術で鼻の鼻茸を除去したり、副鼻腔全体を解放します。しかし約半数は再発すると言われ、術後の定期的な鼻処置や投薬が必要となります。
鼻腔腫瘍
血管腫や乳頭腫などの良性腫瘍は放置しても改善することはないので手術により摘出します。上咽頭癌などの悪性腫瘍ではより専門的な治療が必要になりますので、専門医療機関で治療を受けます。
鼻腔異物
外から確認できれば外来で摘出します。
鼻つまりセルフケア解消法
- 40~42℃の湯船に15分浸かる
鼻のつまりの原因の1つに鼻の血流の循環障害があります。鼻の血流を改善させるためには鼻を温めることが重要です。入浴により身体の血流は改善し、結果的に鼻の血流改善につながります。まずは浴槽にちゃんとお湯(40~42℃)を張り、15分程度しっかりつかりましょう。入浴して5分も経過すると鼻の血流が良くなってきます。鼻がなんとなくムズムズしてきたらそのサインです。
また入浴中はお湯につけたタオルを鼻に置き鼻を温めましょう。鼻を直接温めることにより鼻が潤い、通りもよくなります。その時に湯気を鼻から吸い口から吐く(通称鼻スチーム)を行いましょう。蒸気を鼻から吸うことでさらに鼻が潤い、鼻通りも改善します。これは入浴のついでにできるため簡単でお勧めの方法です。
- 脇ペットボトル法
脇にペットボトルを一定時間挟むだけで、すぐに鼻通りがよくなる方法です。これは即効性があり、やり方も非常に簡単なので是非試してみてください。
- 水などをいれた500mlのペットボトルを用意する
- 鼻が詰まっている反対側の脇に挟み、挟んだ腕で体側に力を入れて20-30秒間キープする
- 挟んだ反対側の鼻が1分をたたないうちに鼻が通る
まずは水などをいれた500mlのペットボトルを用意します。この時、硬めのペットボトルを使用しましょう。柔らかいペットボトルではうまく刺激が伝わりません。ペットボトル以外にもテニスボールなど硬いボールを使用しても構いません。
これを鼻が詰まっている反対側の脇に挟み、挟んだ腕で体側に力を入れて20-30秒間キープします。コツは正しく脇から指3本くらい下にある圧迫ポイントを刺激することです。
挟んだ反対側の鼻が1分をたたないうちに鼻が通ってきます。これは脇の下に交感神経という、心身を活発にさせる神経が通っており、それが鼻に繋がってます。鼻の交感神経が刺激されると鼻の血管が収縮し鼻の粘膜も収縮し鼻が一時的に解消すると考えられてます。ただしこの方法の効果は一時的で長続きしないですが、もし鼻詰まりの点鼻薬を使用しているなら「入浴後」に「脇ペットボトル法」を行うことで点鼻薬効果をアップさせることができます。なぜなら点鼻薬は鼻が通っている時に使用すると薬が奥まで届きやすくなり、効果がアップするからです。
- 鼻うがい
後鼻漏や鼻水が原因で鼻が詰まる人にお勧めです。鼻うがいは鼻うがい器を使用し直接鼻の中を水で洗う方法です。鼻に溜まった鼻水や後鼻漏、膿などを洗うことができ、副鼻腔炎の治療にも用いられます。また鼻に付着した花粉やアレルゲンも掃除できるのでアレルギー性鼻炎にも有効です。
- 電子レンジを用いた解消法
入浴中に行う蒸しタオルと鼻スチームを簡易的に電子レンジで作る方法です。
蒸しタオル
- 水道水で濡らして軽くしぼったタオルを用意する
- タオルをたたみ、ラップで包む
- 電子レンジで1分間温める
- ラップを外し、軽く振って冷ます
- 鼻に置き、鼻から息を吸い、口から吐くように呼吸する
電子レンジで作った蒸しタオルは入浴の際の蒸しタオルより温度が高くなっているのでより効果的になってます。
鼻スチーム
また蒸しタオルが用意するのが面倒ならば、コップに水を入れてレンジでお湯にします。この湯気を鼻から吸い込んで口から吐く「鼻スチーム」だけ行うのも良いでしょう。このお湯に「ハッカ油=いわゆるミント」をお湯に数滴垂らすとさらに効果的です。ハッカの効果で鼻つまりも良くなり、さわやかな香りで気分も良くなります。また実はハッカに含まれるメントールには鼻の繊毛といっていわゆる防御機能をアップさせてアレルゲンの侵入をブロックする働きもあるとされています。
小さいお子さんでも実践できるのでお勧めです。ただやけどには十分注意してください。鼻吸い器をお持ちの家庭では蒸しタオルや鼻スチームを行った後に鼻吸いしてあげましょう。鼻水が蒸気でほぐれて吸いやすくなっています。
- クッションを背中に敷いて寝る
起きている時はそこまで鼻が詰まってないのに寝ると鼻がつまる事があると思います。これは「鼻の自律神経」と「体位」が原因です。寝る際は体をリラックスさせる自律神経の副交感神経が優先的に働きます。この副交感神経が作用すると鼻の粘膜が腫れて、鼻の通りが悪くなるのです。また寝た体位になると頭に血流が届きやすくなり、鼻の血管が拡張し鼻の粘膜が腫れ、結果鼻の通りが悪くなります。以上の理由から人間は寝る状態になると鼻がつまりやすくなります。そこで背中にクッションを敷いて寝てみてください。背中にクッションやを入れて、少し上体を起こすことで血流が頭に届きにくくなり、鼻の粘膜が腫れにくくなります。角度としては20°も上体が起きれば十分です。あまり上体が起こしすぎても今度は寝づらいと思うので自分で調整してください。バスタオルや座布団、掛け布団を下に敷いても良いでしょう。
まとめ
鼻つまりはよくある症状ですが長期的に継続すると生活の質が低下する煩わしい症状です。鼻つまりでお困りの方は耳鼻咽喉科へご相談ください。