【耳鼻科医解説】耳の詰まりの本当の原因と治し方
こんにちは、名古屋はなまる耳鼻科クリニックの院長佐藤(Dr.はなまる)です。今回は、「耳の詰まり」について詳しく解説します。耳が詰まると、とても不快ですよね。例えるなら、飛行機で高いところに飛んだ時や、新幹線のトンネル内で感じる耳の詰まり感。これを専門用語で「耳閉感」と言います。一時的な耳詰まりなら、あくびや耳抜きで改善することが多いですが、それでもなかなか治らない場合、心配になりますよね。
実は、耳閉感の裏には意外な原因が潜んでいることがあり、時には病気が隠れていることもあります。また、鼻をすすったり、耳に無理な負担をかける行為は、悪化の原因にもなるので要注意です。本日は「耳の詰まりの本当の原因と治し方」について、耳鼻科専門医の立場からお話ししていきます。
目次
• 意外に多い原因は耳垢のつまり
• 耳閉感は難聴のサインかも?
• 鼻の病気が原因で耳がつまることもある
• 厄介なのは「耳管開放症」
• 鼻をすすってはいけない理由
• まとめ
1. 意外に多い原因は耳垢のつまり
耳詰まりの原因で意外に多いのが、耳垢のつまりです。耳垢が耳の中に詰まってしまうことで、耳が塞がれ、耳閉感を感じることがあります。特に、お風呂上がりやプールの後、耳掃除の後などに詰まりやすくなることがあります。水が耳に入り、耳垢が水を吸って膨らむことで耳を塞いでしまうのです。
また、耳掃除をした際に、耳垢を奥に押し込んでしまうことも原因となります。実際に、自分で定期的に耳掃除をしているつもりでも、間違った方法で行っていると逆効果になることがあります。耳垢が耳の奥に詰まってしまった場合、自分で取り除くのは非常に困難です。
耳垢が原因の耳詰まりは、耳鼻科で耳垢を除去してもらうことで簡単に解消できます。自分で無理に耳掃除をするのではなく、耳鼻科に受診して耳垢を取ってもらうことをおすすめします。
2. 耳閉感は難聴のサインかも?
耳閉感の原因には、難聴が隠れていることもあります。特に、耳が詰まっている感覚に加えて、音が聞こえにくくなっている場合、突発性難聴やメニエール病などが疑われます。難聴の自覚がないまま耳閉感を訴える患者さんも多く、聴力検査をしてみると、実際には難聴が原因だったということがあります。
耳閉感が続いている場合は、耳鼻科で聴力検査を受けることが大切です。特に、「突発性難聴」の場合は、早期治療が必要で、放置していると聴力が回復しないこともあります。耳の詰まり感を軽視せず、早めに診察を受けることをお勧めします。
3. 鼻の病気が原因で耳がつまることもある
耳の詰まりは、鼻の病気が原因であることも少なくありません。例えば、風邪や副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎など、鼻の調子が悪くなると耳閉感が出てくることがあります。この現象は、「耳管」という耳と鼻をつなぐ管が関係しています。
耳管は、耳の奥(中耳)と鼻の奥をつないでおり、中耳の換気や気圧の調整を行っています。通常、耳管は閉じていますが、あくびをしたり、唾を飲んだりすることで一時的に開き、耳の中の気圧を調整します。しかし、鼻炎や副鼻腔炎で耳管が炎症を起こすと、耳管が正常に開かず、耳の中の換気がうまくいかなくなり、耳詰まりを感じるようになります。
この場合、耳詰まりを解消するためには、鼻炎や副鼻腔炎の治療が必要です。耳鼻科で鼻の治療を行うことで、耳の症状も改善することが多いです。
4. 厄介なのは「耳管開放症」
次に紹介するのは、「耳管開放症」という耳の病気です。これは耳管が開きっぱなしの状態になってしまう病気で、特に急激なダイエットや妊娠、ピルの服用などが原因で発症することがあります。30~40歳代の女性に多い病気です。
耳管が開きっぱなしになると、自分の声や呼吸音が耳に響くようになります(自声強聴)。また、症状は体位によって変わることが特徴で、お辞儀をしたり、横になると症状が軽減することがあります。
治療は難しく、症状が長引くことが多いですが、軽症の場合は生活習慣の改善や水分補給、運動をすることで症状が和らぐことがあります。耳管開放症の症状に心当たりがある場合は、耳鼻科で診察を受けることをお勧めします。
5. 鼻をすすってはいけない理由
耳の詰まりを感じると、鼻をすすりたくなる方が多いですが、鼻をすする行為は危険です。鼻をすすり続けることで、耳の中の空気が引っ張られ、結果的に中耳炎などの耳の病気を引き起こす可能性があります。耳の詰まり感がある時は、鼻をすすらず、鼻をかむことが推奨されています。
6. まとめ
耳の詰まり感には、さまざまな原因が隠れていることがあります。自分で原因を特定するのは難しい場合もあるため、耳の詰まりが続く場合は、耳鼻科で診察を受けることを強くお勧めします。耳の詰まりを軽視せず、早期に治療することで、症状の悪化を防ぐことができます。
耳の詰まりが気になる方は、ぜひ当院までご相談ください。専門医が適切な診断と治療を行います。このコラムが皆さんの役に立てば幸いです。