好酸球性副鼻腔炎
好酸球性副鼻腔炎とは?
好酸球性副鼻腔炎は近年患者数が増加傾向で、両側の鼻の中に大量の鼻茸ができ、薬物治療や手術などの治療を行っても再発してしまう可能性が高い副鼻腔炎です。ほとんどが20歳以上の成人になってから発症し、気管支喘息を合併している人が多いです。好酸球性副鼻腔炎は一般的な副鼻腔炎と性質や治療法などが大きく異なるため正確な診断が重要な病気です。
目次
- 症状
- 原因
- 検査
- 治療
好酸球性副鼻腔炎の症状
- 鼻のつまり(鼻閉)
- においがわからない(嗅覚障害)
- ネバついた鼻汁、後鼻漏
- 難聴(好酸球性中耳炎)
両側の鼻の中(鼻腔)に鼻茸が多発的に出現するため鼻の通りが悪くなり、鼻がつまります。また鼻の中の匂い感知する部分(嗅裂)付近にも鼻茸が出現しやすいため比較的初期からにおいがわかりにくくなります(嗅覚障害)。またネバついた鼻水が多く出て、喉の方に流れることがあります(後鼻漏)これらの鼻閉、嗅覚障害、鼻汁、後鼻漏症状が3ヶ月以上続きます。また中には好酸球性中耳炎も引き起こし、難聴や耳閉感などの症状も出ることがあります。
好酸球性副鼻腔炎の原因
具体的な原因はまだ完全には解明されていませんがアレルギー反応がその原因ではないかと考えられています。
好酸球性副鼻腔炎の検査
- 鼻鏡検査
鼻鏡を用いて肉眼で鼻の中の鼻茸の有無を観察します。
- 耳鏡検査
好酸球性中耳炎の有無を観察します
- 電子内視鏡検査
電子内視鏡(鼻ファイバースコープ)を用いて鼻茸の有無や鼻の腫れ方、鼻水や後鼻漏の性状などを観察します
- 画像検査
レントゲンやCT検査などを行い副鼻腔炎を調べます。特に好酸球性副鼻腔炎CT検査が有用です。
- 血液検査
血液検査で好酸球の値を調べることがあります。
- 鼻茸の病理検査
鼻茸の一部を採取し、そこに含まれる好酸球の数を調べることがあります。
好酸球性副鼻腔炎の治療
- 薬物療法
好酸球性副鼻腔炎の治療の中心はステロイド薬の内服です。ステロイド薬の内服は非常に効果的ですが、副作用も生じるため長期的な使用は難しく限定的な使用になりがちです。対して点鼻ステロイド薬は比較的副作用も少なく安全で長期間使用できますが、経口薬と比べると効果が劣ります。その他抗ロイコトリエン薬や抗ヒスタミン薬などの薬も併用されることがあります。
- 手術
自覚症状が強い場合や鼻茸が大きい場合は内視鏡を用いて鼻茸を取り除く手術が症状の改善に有効です。しかし再発率は50%以上と言われ、手術をしても再度鼻茸が発生しやすいのが難点です。
- 鼻処置、ネブライザー
手術後も定期的な通院で薬物治療や鼻処置、ネブライザー治療を受けるなどが必要となります。
- 生物学的製剤
最近では病気に関わる一部の免疫を阻害する生物学的製剤(デュピルマブ)が重症例に使用できるようになりました。