鼻血
鼻血とは?
鼻血は誰にでも起こりうる身近な症状です。小児の場合は鼻をほじるなど物理的刺激で出血する事が多く、正しく対処すれば短時間で治まります。大人の場合も小児と同様で正しく対処すれば改善する事が多いです。しかし中には高血圧や血液をサラサラにする薬(抗凝固薬など)、その他病気が原因でなかなか鼻血が止まらなかったり、繰り返し出血したりする場合があります。出血の勢いが強く止まらない場合や頻繁に鼻血が出る場合には医療機関へ受診しましょう。
目次
- 原因
- 検査
- 鼻血の正しい止め方
- よくある間違った止め方
- 鼻血が止まった後のNG行動
- 受診すべき鼻血の特徴
鼻血の原因
鼻の粘膜は血管が豊富で、特に鼻の穴を左右に分ける壁(鼻中隔=びちゅうかく)の入り口付近にある「キーゼルバッハ部位」には血管が集中しています。鼻をほじって指で傷つけたり、鼻をかむ際にこすれるなどの刺激を受けやすい部分でもあり、鼻血の出血部位の7~8割を占めています。
一般的なよくある原因は以下です。
- アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎は、鼻の粘膜を刺激し、腫れや炎症を引き起こします。これにより、粘膜が傷つきやすくなり、出血しやすくなります。また、これらの病気により鼻水や鼻のかゆみが引き起こされ、頻繁に鼻を触ったり鼻をかんだりすることで、さらに粘膜が傷つきやすくなるのも鼻血が出やすくなる一因となります。
- 外傷
鼻をぶつけたりすることで出血します。
その他以下の病気が原因で起こることもあります。
- 高血圧
血圧が高いと鼻血に関わらず出血しやすい状態です。出血した場合にも勢いが強いので止まりにくいことがあります。
- 糖尿病
高血糖のせいで血管がもろくなり出血しやすいです。また循環器疾患などを合併していることも多いため、鼻血が出やすい状態です。
- 肝臓・血液の病気
肝臓や血液の病気が原因で血液を固める作用のある「凝固因子」や「血小板」が不足するなどして出血しやすくなったり、止まりにくくなります
- 内服薬
心筋梗塞、脳梗塞などに使用する血液をさらさらする薬を飲んでいる場合、鼻血が止まりにくくなります。
- 腫瘍
鼻腔や副鼻腔、上咽頭に腫瘍ができている場合出血しやすくなります。一般的に腫瘍は血管豊富で出血しやすいためです。
- オスラー病
全身の血管に異常が起こり、肺や脳、肝臓などあらゆるところから出血する可能性がある病気です。最も多い症状が繰り返す鼻血です。
鼻血の検査
- 鼻鏡検査
肉眼で鼻の状態を観察します。
- 電子内視鏡検査
電子内視鏡(鼻ファイバー)を使用して鼻の中を観察します。出血源や腫瘍などの有無を観察できます。
- 画像検査
CT検査やMRI検査などで副鼻腔炎、腫瘍などの発見に役立ちます。
- 血液検査
血液を固める作用のある「凝固因子」や「血小板」などの異常の有無を確認することがあります。
鼻血の正しい止め方
- 落ち着いて座る
まず、落ち着いて座りましょう。パニックにならず、無理に横にならないでください。
- 頭を前に傾ける
頭を前に傾け鼻血が後方に流れないようにします。逆に頭を後ろに傾けると、血が喉に流れ込んで吐き気や嘔吐を引き起こす可能性がありますし、血液が喉に流れると窒息の原因となるので絶対NGです。
- 鼻をつまんで圧迫する
鼻の柔らかい部分(鼻翼)を親指と人差し指でつまみます。鼻出血の原因として多い、キーゼルバッハ部位を圧迫し止血するのです。
- 10分間待つ。
鼻をつまんだまま、10分間静かに待ちます。その間に、鼻から口に落ちる血は飲まずに吐き出します。もしそれで止まらない場合はもう10分間押さえる。それで計20分圧迫しても止血できない場合は医療機関を受診しましょう。
よくある間違った止め方
- 鼻にティッシュを詰める
鼻血が出ると誰しも1度は鼻にティッシュを入れた事があると思いますが実はこの方法は鼻血を止める方法として間違っています。そもそもティッシュを鼻に入れても血はティッシュをつたって溢れてきて止血になりませんし鼻の粘膜を傷つけて、出血を増やす可能性があります。またティッシュを抜く際にはできたかさぶたを剥がして再度鼻出血が起きるかもしれませんし、間違って鼻の奥にティッシュが残ってしまうと、感染症を引き起こす可能性がありますので絶対に鼻にティッシュは詰めないようにしましょう。
鼻血が止まった後のNG行動
また一時的に鼻血が止まっても再出血する恐れがあるため以下の事はできるだけ控えましょう。
- 入浴
湯船に入浴したりサウナに入ると血流が良くなり再出血しやすくなります。シャワーで済ませましょう。
- 運動
運動による血圧の上昇や心拍数の増加は、鼻血が再び出る原因となります。特に、激しい運動や重い物を持ち上げるような動作は避けて、24時間は安静に過ごしましょう。
- 飲酒
アルコールは血管を拡張させる作用があり出血しやすくなります。
- 鼻をかむ
鼻をかむと、止血した部分が剥がれて再び出血する可能性があります。どうしてもかむ時は強くかむのは避けて優しくかみましょう。
受診すべき鼻血の特徴
以下の症状がある場合は、危険な鼻出血である可能性が高いため、医療機関へ受診すべきです。
- 20分以上出血する
正しく止血をしているのに20分以上止まらない鼻出血は危険です。止まらない理由として鼻の後方から出血している可能性があります。鼻腔後方の血管は、鼻腔前方の血管よりも太いため、大量の出血になりやすく、指での圧迫では止めにくい位置にあるので出血が継続しやすいです。
また鼻腔後方からの出血は、高血圧や、鼻の腫瘍などの病気が原因であることが多いため、出血が続きやすく、止血に時間がかかります。そして鼻の後方からの出血はそのまま喉へのたれ込み、気分不良や嘔吐、窒息の原因になりやすいので注意が必要です。また最初から大量出血の鼻血の場合は無理に20分以上待つ必要はありませんので、すぐに医療機関へ受診してください。
- 週1回以上頻繁に鼻血が出る
頻繁に出る鼻出血は危険な鼻出血です。特に週1回以上、定期的に鼻出血が出る人は要注意です。鼻出血を起こしやすくする病気が隠れている可能性があります。特に注意すべきはガンなどの腫瘍の病気などです。その場合は早期発見、早期治療が重要なため耳鼻科への早期受診をお勧めします。
- 歯茎など他の部分から出血
歯茎など鼻以外の部分からも出血している場合は異常です。抗凝固薬の内服が原因になる事もありますが内服していないのに起こる場合血液の凝固が異常になる重篤な病気(肝臓・血液の病気)やオスラー病などが隠れているサインかもしれません。
- 番外編:顔が青ざめている
鼻血のせいで顔が青ざめている場合は危険な状態といえます。出血多量による貧血状態などが考えられます。大量の鼻血があった場合は大量出血での貧血だと気づきやすいと思いますが鼻血は少量でも、頻繁に長期的に鼻出血が続く場合は気づかないうちに貧血も徐々に進行している事がありますので注意してください。そのほか貧血になるとふらつきや立ちくらみ、疲労感、息切れ、頭痛などの症状は生じますのでいくつか症状が思い当たる場合は貧血の検査をお勧めします。