耳管狭窄症
耳管狭窄症とは?
まず耳管について解説します。耳管とは中耳と鼻の奥にある上咽頭をつなぐ管で、中耳の圧力を調整する機能があります。通常耳管は閉じた状態ですが、あくびや唾を飲み込むなどすると耳管は開き圧力を調整します。しかし耳管狭窄症(じかんきょうさくしょう)は、耳管が何らかの理由で狭く、開きにくくなり中耳の圧力調整が困難となった状態で耳の塞がった感じ(耳閉感)などの症状を起こします。
目次
- 症状
- 原因
- 検査
- 治療
耳管狭窄症の症状
- 耳がつまる感じ(耳閉感)
主な症状としては、耳がつまる感じ(耳閉感)があります。エレベーターや飛行機に乗ったときや、トンネルに入ったときなどにおこる耳閉感と同じ感覚です。
耳管狭窄症の原因
- 鼻かぜ、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎
- 上咽頭がん
- 逆流性食道炎
原因としては、風邪や副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎などによる鼻の奥での炎症が挙げられます。鼻の奥の腫瘍(上咽頭がんなど)が原因となる場合もあるので、必要に応じて鼻の奥を内視鏡で観察します。また、近年では胃食道逆流症(逆流性食道炎)と耳管機能が関係していることが分かってきました。
耳管狭窄症の検査
- 耳鏡検査
鼓膜や外耳道を観察し異常がないかを観察します。
- 聴力検査
難聴を評価する検査です。耳閉感は難聴により出現することもあるため聴力を検査することがあります。
- ティンパノメトリー
外耳から圧を加えて鼓膜の動きを検査です。耳管狭窄症の際には結果に異常が出ることがあります。
- 電子内視鏡(ファイバーカメラ)
高齢者や耳閉感がずっと継続する人は鼻から電子内視鏡を入れて上咽頭を観察し腫瘍(がんなど)がないかを確認することがあります。
- 耳管機能検査
耳管の機能を調べる検査です。この検査により耳管が正常に開閉しているか、あるいは狭窄(耳管狭窄症)や開放(耳管開放症)かを判断できます。
耳管狭窄症の治療
- 薬物治療
風邪や副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎が原因の場合、耳管の炎症を抑えるためそれぞれの治療を行います。それに並行し鼻のネブライザー(吸入器)を行い炎症を抑えます。
- 鼓膜チューブ留置術
治療に効果がなく症状がつらい場合、鼓膜に空けた小さな穴にチューブを入れる「鼓膜チューブ留置術」を行うこともあります。