顔面神経麻痺
顔面神経麻痺とは
顔面神経麻痺は、顔の筋肉を動かす神経に麻痺が起きて顔の動きが悪くなる病気です。顔面神経麻痺の程度や原因によってさまざまな症状や後遺症が出ます。
目次
- 症状
- 原因
- 検査
- 治療
顔面神経麻痺の症状
- 顔の動きが悪くなる
- 目が渇く
- 味がしない(味覚障害)
- 音が響く
- その他耳の痛み、口内炎、耳鳴り、難聴、めまいなど
顔面神経が麻痺すると、片側の表情筋が動かず顔が曲がったような状態になります。まぶたがを閉じれない、額にしわが寄らない、食べ物や水が口からこぼれ落ちるなどの症状が見られます。顔面神経の一部は涙腺や味覚、中耳の筋肉(アブミ骨筋)などを支配しているため、麻痺した場合には目が渇く、味がしない(味覚障害)、音が響くといった症状が現れることもあります。
その他、帯状疱疹ウイルスが原因のラムゼイ・ハント症候群では耳の痛みや口内炎、耳鳴り、難聴、めまいなどの症状を伴うことがあります。
顔面神経麻痺の原因
- ウイルス
- 脳疾患(脳梗塞・脳出血)
- その他外傷、腫瘍、中耳炎、全身疾患など
これらの中で特に頻度の高い原因がウイルスです。ウイルスが原因の顔面神経麻痺は単純ヘルペスウイルスが原因と考えられているベル麻痺と水ぼうそうを引き起こす水痘・帯状疱疹ウイルスが原因のラムゼイ・ハント症候群に分類され、それぞれベル麻痺が原因の約60%、ラムゼイ・ハント症候群が原因の約10~15%を占めます。ベル麻痺もラムゼイ・ハント症候群も、一度感染し顔面神経に潜伏していたウイルスが体の免疫が低下したときに再度活性化し、顔面神経に炎症を起こすことが原因と考えられています。
顔面神経麻痺の検査
- 耳・口の診察
耳や口にラムゼイ・ハント症候群の帯状疱疹がないかを観察します。
- 顔の動きの評価(柳原法)
顔の動きや左右差などを点数化し評価します。この点数が悪いと治りも悪いと予想されます。
- 血液検査
血液検査では単純ヘルペスウイルスや水痘・帯状疱疹ウイルスなどの抗体量を測定することがあります。また治療の際に安全にステロイド薬を使用できるかを確認するために糖尿病やB型肝炎の有無などを調べます。
- 聴力検査
難聴や耳鳴りなどの症状がある場合には聞こえの検査を行うことがあります。
- 画像検査
CTやMRIを撮影し脳疾患や外傷、腫瘍の有無を検査します。
- その他味覚検査や涙分泌検査
顔面神経麻痺の治療
- 薬物治療
発症間もない急性期にはステロイド薬や抗ウイルス薬を中心にビタミンB12、ATP製剤、循環改善薬なども使用しながら治療していきます。
- 手術
麻痺が重症の場合には顔面神経の圧迫を解除する手術(顔面神経減価術)を行い、顔面神経麻痺の改善を図ることがあります。
- リハビリ
麻痺の回復促進や後遺症を予防するためにリハビリを行います。リハビリは表情筋をほぐすマッサージが主体で、患者さんご自身が毎日行うものです。