味覚障害
味覚障害とは?
味覚障害とは、舌の上にある味を感じる部分(味蕾)が何らかの理由で機能が低下し「味をまったく感じない」「味を感じにくい」「異常な味がする」といった味覚の異常がある状態のことを指します。多くは亜鉛不足と薬剤の副作用が原因であることが多いです。
目次
- 症状
- 原因
- 検査
- 治療
- 亜鉛が豊富な食べ物
味覚障害の症状
- 味がしにくい(味覚低下)
- いつもと味が違う(異味症)
- 常に口の中で味覚を感じる
症状で最も多いのは「味覚低下」です。5つの基本味覚である「甘味」、「酸味」、「塩味」、「苦味」、「うま味」が分かりにくくなり「味がしない」と感じるようになります。また、人によっては、ある特定の味だけが感じにくくなる場合もあります。中には「いつもと味が違う(異味症)」や「何も食べていないのに、常に味覚を感じる」といった症状が起こることもあります。
味覚障害の原因
- 亜鉛不足
- 薬剤性
- かぜ、新型コロナウイルス感染症など
- 口腔カンジダ症
- 特発性(原因不明)
- その他全身性の病気や手術、放射線治療の合併症、外傷など
味覚障害で最も多い原因として「亜鉛不足」と「薬剤性」が挙げられます。血液中の亜鉛が不足すると味覚障害になることがあります。また亜鉛以外にもビタミン、鉄などの不足でも起こります。もう一つ味覚障害で多い原因として薬剤性(使用する薬剤の副作用)があります。
特に味覚障害を起こしやすい薬剤は以下の通りです。
- 降圧薬:ラシックス、アムロジン、レニベース、ブロプレス、ディオバンなど
- 消化性潰瘍治療薬:ムコスタ、ガスター、パリエット、オメプラール、タケプロンなど
- 抗うつ薬:トリプタノール、トフラニール、ルボックス、トレドミンなど
- 抗菌薬:クラリス、ミノマイシン、ジスロマック、サワシリンなど
- 抗がん剤
風邪による味覚障害は鼻炎で嗅覚障害も起こり味が感じにくくなりますが、新型コロナウイルス感染症による味覚障害は、嗅覚障害がなくても重度の味覚障害を来す場合があります。また口腔カンジダ症といって口のカンジダ感染が味覚障害を起こすことあります。
味覚障害の検査
- 血液検査
血液中の亜鉛や鉄などの値を検査します。
- 電気味覚検査
味覚を感じる神経の左右差や機能低下を調べる検査です。
- 濾紙ディスク検査
味覚の感じ方がどの程度であるかを調べる検査です。この検査では、舌の決まった部位に「甘い」「塩辛い」「酸っぱい」「苦い」の4つの味の溶液を浸した小さな紙を置き、どれくらいの味の濃さで感じるかを調べます。
味覚障害の治療
- 亜鉛補充
- 原因薬剤の中止
- 口のケア
味覚障害の原因が判明した場合は、その原因に応じた治療を行います。亜鉛不足や鉄の不足による貧血が原因である場合は、亜鉛や鉄の補充療法を行います。
血液検査で亜鉛が80μg/dL未満の人は亜鉛が欠乏している可能性高いので亜鉛補充を行うべきです。
薬の副作用で味覚障害が生じている場合には原因となる薬をできれば中止し、別の薬に変更するなどします。口腔カンジダ症は原因となる真菌に対し、うがい薬や口腔に貼る薬などで治療します。舌炎、口内炎も薬で治療し、歯周病は歯垢除去などのケアを行います。
亜鉛が豊富な食べ物
亜鉛は薬に頼るだけでなく食べ物からも積極的に摂取すべきです。
まず亜鉛は1日にどれくらい必要か?
厚生労働省によると推奨される1日の亜鉛摂取量は成人男性で11mg、成人女性で8mgです。特に妊婦や授乳中の方は多くなり、妊婦10mg、授乳中は12mg必要です。
しかし実際の平均摂取量は成人男性で9.2mg,成人女性で7,7mgしかありません。つまり我々は元々亜鉛不足に陥りやすい状況にあります。
摂るべきオススメの食材は次のとおりです。
- 牡蠣
- レバー
- 肉
- カシューナッツ
- 油揚げ
- 納豆
- 卵
日常生活に取り入れるなら、牡蠣やレバーは亜鉛量が多いですが高価だったり味に癖があったりで日常的に食べることは難しい人が多いと思います。なので牡蠣やレバーは機会があれば食べる程度にしておいて、日常の食生活としては肉や卵などを主菜に積極的に料理に取り入れてもらうと効率的に亜鉛を摂取できると思います。そして味噌汁などのお吸い物に油あげを入れて納豆をご飯にかけておやつ感覚でカシューナッツを手軽に食べる感じが現実的だと思います。また牡蠣にはおとりますが魚介類全般も亜鉛を多く含みオススメです。すでに味覚障害で亜鉛製剤治療を受けている人も並行して食事に取り組んでください。