急性扁桃炎
急性扁桃炎とは?
急性扁桃炎は、口蓋扁桃というのどの奥にある部位にウイルスや細菌感染が原因で炎症が起こった状態を指します。症状は発熱やのどの痛みなどがあり、重症化すると飲食ができなくなり入院する必要があることもあります。のどの痛みの多くはのど風邪(咽頭炎)で多くは自然と改善しますが、扁桃炎の場合には抗生剤などの治療が必要となる事があるので注意が必要です。
目次
- 症状
- 原因
- 検査
- 治療
急性扁桃炎の症状
- のどの痛み
特に唾を飲み込む時の痛み(嚥下痛)などがあります。症状が重いと飲食が困難になります。病院によって判断は違いますが、一般的に水が飲めないほど重症の場合は入院による治療を検討します。また口が開きにくい(開口障害)などの症状があると扁桃周囲膿瘍(へんとうしゅういのうよう)に悪化している可能性があります。開口障害がある場合には必ず医療機関へ受診しましょう。
- 高熱
特に38度以上の高熱がある場合、扁桃炎の可能性が高まります。
- 首のリンパが腫れる
扁桃炎に反応し首のリンパ節が腫れて、痛みも伴うことも多いです。
急性扁桃炎の原因
一般に扁桃と呼ばれる口蓋扁桃はリンパ組織で免疫に関係しています。本来、鼻や口から侵入してくる病原体(ウイルス・細菌)から体を守る働きをしています。
- ウイルス
ライノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、EBウイルス、サイトメガロウイルスなど
- 細菌
溶連菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌など
特に溶連菌が原因の場合はリウマチ熱や糸球体腎炎を続発することがあり、適切な抗菌薬投与が必要となる病気なので、溶連菌感染症の診断は重要になります。
急性扁桃炎の検査
- 視診
肉眼で扁桃や咽頭の状態を観察します。扁桃炎の場合には扁桃が腫れて赤くなり、白い苔(こけ)様のものが付着した所見が見られることがあります。
- 電子内視鏡検査
電子内視鏡(ファイバースコープ)を用いて口蓋扁桃や咽喉頭の状態を確認することがあります。
- 迅速検査
溶連菌は咽頭拭い液を用いた迅速キットにより10分程度で診断可能です。
- うがい検査
性感染症(淋菌、咽頭クラミジアなど)の検査です。
- 血液検査
全身状態によっては血液検査で炎症反応やウイルス・細菌の抗体価を調べる場合もあります。また扁桃炎と似た症状を起こす伝染性単核球症(でんせんせいたんかくきゅうしょう)という病気があり、扁桃炎の治療に使用する事があるペニシリン抗生剤を使用すると副作用(全身に皮疹が出る)が出るおそれがあるため、診断目的で血液検査をすることがあります。
- 画像検査
炎症が強く扁桃周囲膿瘍を疑う場合にはCT検査で膿が溜まっているか(膿瘍形成)を確認します。
急性扁桃炎の治療
- 薬物治療
軽症の場合には発熱や痛みをおさえる解熱鎮痛剤や消炎剤などの対症療法が中心です。細菌性を疑う場合や中等症以上の場合には抗菌薬の治療を行います。特に溶連菌が原因の場合、リウマチ熱の発症予防を目的として、ペニシリン系抗菌薬の10日間内服などを行います。
- 手術療法
扁桃炎を高頻度(年に3-4回以上)に繰り返している場合(慢性扁桃炎)には、再発の予防目的のため手術で口蓋扁桃摘出を検討します。一般的には全身麻酔下で手術を行い、1週間程度の入院が必要となる事が多いです。