咳が止まらない
咳が止まらないとは?
「咳が止まらない」とは、通常の風邪や感染症が治癒した後も続く、持続的または慢性的な咳のことを指します。この状態は、身体が何らかの内部または外部の刺激に反応しているサインである可能性があります。
目次
- 原因
- 検査
- 治療
咳が止まらない原因
- 上気道咳嗽症候群
上気道咳嗽症候群(じょうきどう・がいそう・しょうこうぐん)は、鼻粘膜から産生された過度の粘液によって引き起こされる疾患です。具体的には、鼻汁が喉へ流れ込み(後鼻漏)、それが刺激となり、慢性化した咳嗽(せき)が引き起こされます。しばしばアレルギーが原因となり、症状は季節性とは限らず、通年性であることもあります。また、アレルギー性鼻炎や好酸球性副鼻腔炎などのアレルギー疾患は下気道(気管支)との関係が深く、鼻疾患があることで気道が過敏となることも知られています。後鼻漏は「鼻の奥に何か流れる感じ」として自覚されることもありますが、自覚されないこともあります。多くは痰がらみの咳や咳払い感が繰り返されることが特徴で、横(臥床)になると悪化することが特徴です。
- 慢性副鼻腔炎
副鼻腔の慢性的な炎症が咳を引き起こすことがあります。これは通常、顔の圧迫感、鼻水、鼻詰まりなどの症状を伴います。
- 咳喘息
喘息の一形態で、主な症状が咳だけの場合があります。この状態では、咳が特に夜間や運動後に悪化することが特徴です。
- 逆流性食道炎
胃酸が食道に逆流し、喉を刺激して咳を引き起こす場合があります。この状態は耳鼻科だけでなく消化器科でも診断されることがあります。
- 喉頭炎
喉頭炎などの喉の病変が咳を引き起こすことがあります。
咳が止まらない時の検査
- 電子内視鏡検査
電子内視鏡を用いて鼻、咽喉、声帯など上気道の状態を直接視覚的に確認するために行います。副鼻腔の炎症、喉頭炎、異物の有無などを評価できます。
- アレルギー検査
アレルギー性鼻炎や他のアレルギー反応が咳嗽の原因であるかを判定するために行います。当院では血液検査が用いられます。
- 画像検査
副鼻腔、気管、肺などの詳細な画像を得るためにCT検査やレントゲン検査を行います。特に慢性副鼻腔炎や気管支拡張症などの診断に有効です。
- 肺機能検査
咳喘息やその他の呼吸器疾患が咳嗽の原因であるかを判定するために行います。呼吸量や流速などを測定します。
咳が止まらない時の治療
- 上気道咳嗽症候群
鼻腔洗浄、ステロイド含有の点鼻薬、抗ヒスタミン薬、舌下免疫療法(アレルギーが原因の場合)などが用いられます。
- 慢性副鼻腔炎
鼻腔洗浄、ステロイド含有の点鼻薬、抗生物質(細菌感染が原因の場合)、場合によっては手術治療が行われることもあります。
- 咳喘息
咳喘息は、吸入ステロイドと長期作用型の気管支拡張剤による定期的な治療で管理されます。必要に応じて、短期作用型の薬やアレルギー治療が追加されることもあります。
- 逆流性食道炎
逆流性食道炎の治療には、生活習慣の改善(食事の管理、体重減少、禁煙など)と、酸を抑制する薬剤(プロトンポンプ阻害薬やH2ブロッカー)が用いられます。症状が重い場合は、外科手術が必要になることもあります。
- 喉頭炎
声の休息、加湿、消炎鎮痛薬、場合によっては抗生物質(細菌感染が原因の場合)が用いられます。