予約 診療時間

副鼻腔炎(ちくのう)

副鼻腔炎とは?

副鼻腔炎は副鼻腔に風邪などの感染やアレルギー性鼻炎などが原因で炎症が生じて起きることが多いです。炎症で副鼻腔に膿が溜まる事が多いので蓄膿症(ちくのうしょう)とも言われます。

副鼻腔とは、鼻の奥にある空洞のことで、顔の左右にそれぞれ4個ずつ(上顎洞、篩骨洞、前頭洞、蝶形骨洞)、合計8個あります。

副鼻腔炎の頻度としては頬にある上顎洞の炎症が多いです。そのため副鼻腔炎になると頬が痛くなったり、重くなることが多いです。

副鼻腔炎は自然と治る事が多いですが、症状が強い場合には適切な治療が必要となります。

また真菌(カビ)やアレルギー、歯の病気が原因で生じる副鼻腔炎もあるため、症状が継続する場合には耳鼻科に受診しましょう。

目次

  • 症状
  • 種類
  • 検査
  • 治療
  • セルフケア法
  • まとめ

副鼻腔炎の症状

  • 黄色や緑色の鼻水

粘り気が強い、黄色や緑色の鼻水が出ます。

           

  • 鼻つまり

炎症により鼻の粘膜が腫れて、鼻がつまります。

  • 後鼻漏

鼻水が喉の方に落ちてくる症状です。後鼻漏の影響でのどを違和感が生じたり、刺激で咳が出たりもします。

  • 頬やおでこ、目の周りの痛み

副鼻腔の炎症の場所に伴い、頬や目の周囲、おでこの付近に痛みや重い感じがする症状が出ます。おじぎしたりすると余計痛く感じます。

  • 頭重感

炎症に伴い頭が重い感じの症状が出ることがあります。

  • 嗅覚障害

鼻のつまりで匂いが届かなかったり、感染により匂いを感じる細胞が障害を受けるなどして匂いが分かりにくくなります。

副鼻腔炎の種類

  • 急性副鼻腔炎

多くは風邪(ウイルス感染)をきっかけに起こる副鼻腔炎です。症状は軽いことが多く1~2週間程度で治ることが多いです。

  • 慢性副鼻腔炎

急性副鼻腔炎が長引き3ヶ月以上症状が続いた状態です。いわゆる「急性副鼻腔炎を長くこじらせた副鼻腔炎」です。一般的に「蓄膿症」とはこの慢性副鼻腔炎を指します。

  • 好酸球性副鼻腔炎

好酸球性副鼻腔炎とは、多くの鼻茸(ポリープ)が鼻の中に多数できる難治性の副鼻腔炎です。好酸球性副鼻腔炎は、治療しても再発しやすく完全に治すのが難しいとされる副鼻腔炎です。

  • 副鼻腔真菌症

副鼻腔真菌症とは副鼻腔に真菌(カビ)が感染して起こる副鼻腔炎です。高齢者や免疫力が低下している人に多いですが、若い人にもたびたび見られる病気です。

  • 歯性上顎洞炎

歯性上顎洞炎とは、歯の病気が原因で上顎洞(頬にある副鼻腔)に細菌が感染し、炎症を起こす病気です。上顎洞は、上の歯の奥歯の根の近くにあるため、虫歯や歯周病などの炎症が上顎洞に波及しやすく、副鼻腔炎を起こすことがあります。

副鼻腔炎の検査

  • 前鼻鏡検査

鼻鏡を用いて肉眼で鼻の中を観察します。

  • 電子内視鏡検査

電子内視鏡(鼻ファイバースコープ)を用いて鼻の腫れ、鼻水や後鼻漏の性状、鼻茸の有無などを観察します。

  • 画像検査

レントゲンやCT検査、MRI検査などを行い副鼻腔炎を調べます。特に好酸球性副鼻腔炎、副鼻腔真菌症、歯性上顎洞炎にはCT検査・MRI検査が有用です。

  • その他

血液検査やアレルギー検査を行うことがあります。

副鼻腔炎の治療

  • 急性副鼻腔炎

薬物治療

症状が軽い時は対症療法のみで経過を見ることもありますが、症状が強い場合には抗生剤などの治療が必要となります。またアレルギー性鼻炎があると悪化しやすいので抗ヒスタミン薬などのアレルギー性鼻炎薬を処方することもあります。

外来処置

外来で行う処置とは、鼻の中の粘膜の腫れを抑えたり、鼻水の吸引をしたり、ネブライザー療法(鼻の穴に蒸気の薬を吸い込む)する方法です。これらの処置は、症状の緩和や副鼻腔の通り道を広げる効果があります。

  • 慢性副鼻腔炎

薬物治療

マクロライド少量長期療法(マクロライドという抗生剤を通常の半分量で2〜3ヶ月間投与する)や去痰薬、アレルギー性鼻炎があればそれを抑える薬などが使用されます。

外来処置

急性副鼻腔炎と同様に鼻の処置やネブライザー療法を行います

手術療法

薬物療法を3ヶ月以上行い改善が見られない場合には手術療法が検討されます。手術とは、内視鏡を用いて副鼻腔を開放し膿や鼻茸を除去します。

  • 好酸球性副鼻腔炎

薬物療法

好酸球性副鼻腔炎の治療の中心はステロイド薬です。ステロイド薬の内服は非常に効果的ですが、長期的な投与は副作用も生じるため限定的な使用になりがちです。対して点鼻ステロイド薬は安全で長期間使用できますが、経口薬と比べると効果が劣ります。その他抗ロイコトリエン薬や抗ヒスタミン薬などの薬も併用されることがあります。

手術療法

自覚症状が強い場合や鼻茸が大きい場合は内視鏡を用いて鼻茸を取り除く手術が症状の改善に有効です。しかし再発率は50%以上と言われ、手術をしても再度鼻茸が発生しやすいのが難点です。術後は再発予防のために鼻のメンテナンスを目的に定期的な通院が必要となります。

  • 副鼻腔真菌症

手術療法

副鼻腔真菌症は薬物治療では改善しないため内視鏡を用いた手術が基本となります。真菌のほとんどは大人しいタイプ(非浸潤性)ですが、放置し時間が経過すると目や脳の周辺組織に進行するタイプ(浸潤性)に移行してしまう場合があるため、基本的には放置せずに手術治療を受けることをお勧めします。

  • 歯性上顎洞炎

歯科治療

歯性上顎洞炎の治療は、歯の治療と鼻(上顎洞)の治療の両方が必要です。歯の治療では、原因となっている虫歯や歯周病などを治療します。場合によっては、抜歯や歯根の治療などが行われます。

薬物治療

鼻(上顎洞)の治療では、主に抗生物質を使用して炎症を抑えます。

手術治療

症状が強い場合には内視鏡を用いた手術も検討されることがあります。

副鼻腔炎のセルフケア法

副鼻腔炎の自宅でもできるセルフケア法を紹介します。→副鼻腔炎を早く治す方法の動画

  • 鼻うがい
  1. 鼻うがい器と生理食塩水を用意する(真水で行うと激痛を伴うので市販の洗浄液のキットの使用をお勧めします)
  2. 少しあごを引き下を向いた状態で、鼻の穴に鼻洗浄器を当てる
  3. 「アー」と声を出しながら、鼻の中に生理食塩水を流し込む
  4. 流し込んだ生理食塩水を、反対側の鼻か口から出す
  5. 逆の鼻も同様に洗い、片側2回ずつ両側で計4回洗う

これを1日2〜3回行います

  • 入浴

  • 40-42°のお湯に15分程度浸かる

鼻つまりの原因の1つに鼻の血流の循環障害があり、改善に有効なのが鼻を温めることです。鼻を温めると鼻の血流の循環障害が良くなり鼻の詰まりが改善します。そこでお勧めなのが入浴です。40~42℃のお湯に約15分間入浴して鼻を温めるのがお勧めです。浸かって5分もするとはなの中がむずむずしてきます。鼻の血流が良くなっている証拠です。

  • 鼻から息を吸い、口から吐く

また入浴中の呼吸も工夫するとより効果的になります。これは浴室に充満した蒸気を鼻から吸うことで鼻を加湿し、鼻の中の汚れも流すことができ、鼻の通りも良くなります。

  • 鼻スチームする

さらに効果を高めたいのなら蒸しタオルを使用するのがお勧めです。お湯につけて軽く絞ったタオルを鼻の上からかけて鼻から吸うと加湿力と保温力や効果もアップします。簡単にできる方法ですからぜひ試してください。

  • おまけ〜点鼻薬のタイミング〜

鼻閉の点鼻薬を使用してる人は入浴後にすると効果が高いです。実は点鼻薬は鼻が詰まっている時に使用しても効果が薄いです。鼻が詰まっていると、前の方にはかかりますが奥まで薬が届かず効果は限定的です。そのためこの入浴法を行って鼻の通りをよくしてから点鼻薬を使用すると奥まで届くのでより効果的になります。

まとめ

副鼻腔炎の原因は多岐に渡りますが、鼻腔内視鏡検査やCT検査などをしないと詳細な診断はつきません。症状が強かったり、長引いている場合は耳鼻咽喉科に受診することをお勧めします。