鼻水がのどにおちる(後鼻漏)
後鼻漏とは?
後鼻漏は鼻水が喉に流れることで生じる症状です。鼻水がのどに流れるのは誰にもでもある現象ですが、副鼻腔炎などの病気や加齢によって、その量が多くなったり粘りが強くなってべったり付着したりすると不快感を伴います。よく「のどの奥に鼻水がある・何か引っかかっている感じがする」などと表現することが多いです。
目次
- 原因
- 検査
- 治療
- まとめ
後鼻漏の原因
- 急性鼻炎(鼻風邪)
急性鼻炎(風邪)を発症すると、最初は鼻水が多量に分泌され、サラサラの水の様ような鼻水が鼻の前方から出ます。そして白血球がウイルスや細菌と戦ううちに粘っこい鼻水が増えて、喉の方に流れやすくなり後鼻漏となることがあります。
- 副鼻腔炎
鼻と繋がる副鼻腔の炎症により起こる病気です。後鼻漏症状の中で最も頻度が多いのが副鼻腔炎です。副鼻腔から排出される鼻水は鼻の後方に流れやすい構造をしています。副鼻腔炎の症状は、黄色や緑色の鼻水、鼻つまり、頬やおでこ、目の周りの痛み、頭重感などがあります。
- アレルギー性鼻炎(花粉症)
花粉やダニ、ハウスダストなどの特定のアレルゲンが原因で起こる鼻炎です。アレルギー性鼻炎の鼻水は水の様なサラサラな鼻水で前方に流れやすいですが、なにぶん鼻水が大量に分泌されるので、のどの方に流れる鼻水の量も増加することで生じます。アレルギー性鼻炎の症状は透明でサラサラな鼻水、鼻つまり、目のかゆみなどがあります。
- 上咽頭炎
鼻の奥に位置する上咽頭の部分に炎症が起きる病気です。上咽頭炎により滲出液が分泌され、のどに流れていきます。鼻の奥、のどちんこの上の方い違和感を感じると訴える人が多いです。
- 逆流性食道炎
胃酸に逆流によって上咽頭付近が炎症を起こすことで起きます。胃酸が粘膜の知覚過敏を起こし、後鼻漏を感じさている可能性があります。逆流性食道炎の症状は喉仏あたりに引っかかりを感じると訴えたり、ゲップが多かったり、胸焼け、胸の痛み、すっぱいのものが上に上がる感じ(呑酸=どんさん)などがあります。
- 老人性鼻炎
一般的に加齢に伴い生じる「老人性鼻炎」によって後鼻漏は増加します。加齢に伴い、鼻の粘膜の機能が低下するなどで生じる鼻炎のことです。老人性鼻炎の症状は水のようなサラサラとした鼻水、一年中続き、特に食事中に出る、くしゃみや目・のどの痒みはないなどがあります。
後鼻漏の検査
- 鼻鏡検査
目視で鼻の状態を観察します。
- 電子内視鏡検査
内視鏡を用いて鼻や喉の状態を観察します。後鼻漏の有無とその性状・上咽頭に炎症があるか・胃食道逆流症を疑う炎症があるかなどを観察します。
- 鼻汁好酸球検査
アレルギー性鼻炎を疑う場合に鼻汁内の好酸球の有無を調べることがあります。
- アレルギー検査
アレルギー性鼻炎を疑う際に血液検査にてアレルギーを検査をすることがあります。
後鼻漏の治療
- 急性鼻炎(鼻風邪)
多くは治療しなくても数日間で自然と改善することが多いです。必要があれば薬物治療などの対症療法を行います。
- 副鼻腔炎
症状が軽い時は対症療法のみで経過を見ることもありますが、症状が強い場合には抗生剤などの治療が必要となります。またアレルギー性鼻炎があると悪化しやすいので抗ヒスタミン薬などのアレルギー性鼻炎薬を処方することもあります。
また耳鼻科にて行う、鼻の中の粘膜の腫れを抑える鼻処置や、鼻水の吸引、ネブライザー療法(鼻の穴に蒸気の薬を吸い込む)で症状の緩和や副鼻腔の通り道を広げることが可能です。
- アレルギー性鼻炎(花粉症)
治療法はアレルゲンの回避や薬物治療、免疫療法、手術治療など多岐にわたります。
- 上咽頭炎
治療法は抗生剤などの薬物治療やBスポット治療(上咽頭に薬液を直接塗る方法)を行います。自宅ではこれら治療と並行して鼻うがいを行うと良いです。
- 逆流性食道炎
胃酸を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬やH2ブロッカーなど)や消化管運動改善薬を用いて、胃液の逆流を抑えることがあります。
食習慣の改善も必要です。胃酸を増やさないように、脂っこい食べ物やアルコール、カフェイン、炭酸飲料、酸味のある食べ物などを避けることが大切です。また、食事をゆっくりと噛むことで、胃にかかる負担を軽減することができます。また胃を圧迫しなように猫背を正したり、お腹を締め付けるような衣服は避けたり、寝る際の姿勢を工夫したりします。
- 老人性鼻炎
加齢による後鼻漏は根本的に改善する治療法はありませんが、以下による方法で症状を緩和させることができます。
鼻うがい:39~40℃程度に温めた生理食塩水で鼻うがいを1日2回行います。
足湯:足湯は、体全体を温めることで血流を改善させ、鼻粘膜の温度も上昇するため、鼻炎の改善につながります。
まとめ
後鼻漏は不快な症状で集中力や注意力の低下などを引き起こし、日常生活に支障が出ることがあります。しかし後鼻漏の原因は多岐にわたるため症状改善には正確な診断と治療が必要です。気になる方は耳鼻科に受診することをオススメします。