舌下免疫療法とは
舌下免疫療法は体質を改善させ、根本的に治す事も可能になった新しい治療法です。
「アレルギー性鼻炎を根本的に改善させたい」
「アレルギー性鼻炎の薬の量を減らしたい、使用期間を短くしたい」
舌下免疫療法はこれらの悩みを解決してくれる可能性があります。
舌下免疫療法は従来の花粉飛散時期の一時的に症状を抑える治療とは異なり、徐々に体質を改善させ症状を抑える治療法です。
現在唯一根治的治療が期待できる治療法で、約2割が完治し、約6割が症状改善が期待でき、合計約8割の患者さんがこの治療の効果を実感していると言われています。
この治療で効く花粉症は
「スギ花粉」と「ダニ」です
舌下免疫療法は「スギ花粉症」と「ダニのアレルギー性鼻炎」が治療対象になります。
それ以外のアレルギー性鼻炎には適応はありません。
スギ花粉症・
ダニアレルギーとは
スギ花粉症とは
スギ花粉症はアレルギー疾患の一つで、花粉が原因となります。
鼻や眼の粘膜に花粉が触れることで、くしゃみや鼻水、眼のかゆみなどの症状が現れます。喉のかゆみや皮膚のかゆみ、頭のボーっとする感じなど、他の症状もあります。
代表的な症状にはくしゃみ、鼻水、鼻づまり、眼のかゆみ、涙目があります。
花粉症は世界的に増加しており、日本でも増加傾向が見られます。全国の人口の約49.2%が花粉症を患っていると報告されており、特に「スギ花粉」によるアレルギーがスギ花粉症として知られています。
この症状は日常生活に影響を及ぼし、イライラや思考力低下、外出への支障、睡眠障害、疲労などが起こり、社会的な課題となっています。
ダニアレルギーとは
ダニアレルギーは、ダニを原因とする結膜のアレルギー性疾患で、体内に侵入したダニによって免疫機能が反応し、アレルギー症状が引き起こされます。
ダニは夏から秋に大量に繁殖し、死骸や糞が粉々になって空気中に浮遊し、年間を通じて発症する特徴があります。
症状は蕁麻疹、咳、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどが見られます。
ダニアレルギーは喘息発作を引き起こすこともあります。ダニの死骸やフンが乾燥して小さなチリになり、呼吸によって体内に入ることでダニアレルギーの原因となります。
掃除をこまめに行い清潔を保つことが重要で、ダニがいる環境では1年中症状が出る可能性があるため早めの治療が必要です。他のアレルギーと併発することもあるため、適切な対策と治療が大切です。
舌下免疫療法の
メリット
- 体質を根本から改善することで、完治したり症状を改善させる
- 舌下免疫療法を含むアレルゲン免疫療法の期待される効果は、現在では患者の約80%(約20%で完治 約60%で症状改善)で効果が確認されています。しかし残りの約20%では効果が見られませんでした。
- アレルギー性鼻炎の投薬期間の短縮や減量できる可能性がある
- くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの症状が長期的に改善される可能性がある
- 保険適用で自己負担が少ない。
舌下免疫療法の
デメリット
- 副作用がある
舌下免疫療法は従来の皮下注射法に比べて副作用が軽減され、自宅で安全に行える治療法ですが、全身的な副作用はゼロではありません。
一般的な副作用には、口や喉の腫れ、かゆみ、刺激感、吐き気、頭痛などがありますが、服用後30分以内に治まることが多いとされます。1~2ヶ月経過するとこれらの副作用は気にならなくなることもあると報告されています。ただし、スギ舌下錠の場合は花粉飛散時期に副作用が増強する可能性がありますので注意が必要です。
他のアレルギー疾患を併発している場合は元々の疾患が悪化することがあるため、主治医と相談しながら治療を進める必要があります。 - 全ての患者さんに効果があるわけではない(約2割は効果がない)
- 3〜5年間の治療継続が必要
舌下免疫療法の注意点
治療時の注意点として、体調の悪い日は控えるべきであり、服用前後2時間の激しい運動や入浴、アルコール摂取を避け、スケジュール通りに服用する必要があります。
心配なことがあれば、病院に連絡するよう心掛けましょう。副作用に配慮し、迅速に病院へ連絡・受診できるよう、慣れるまでは日中に服用することをお勧めします。
舌下免疫療法実施の流れ
1初回診察
あなたに舌下免疫療法の適応があるかを診察します。 問診、診察、アレルギー検査などを行い、現在の症状を評価し、舌下免疫療法の適応を判断します。
2検査結果の説明
初回診察当日〜約1週間後までにアレルギー検査結果を患者に説明し、アレルギーの原因がダニまたはスギであれば、舌下免疫療法について詳細に説明します。
舌下免疫療法の初回治療の予約を別日でとります。
3舌下免疫療法開始(初回)
初回治療はクリニックで行います。薬の初回投与後は30分間、クリニックで様子を見ます。目立った副作用が出現しなければ診察終了です。もし症状が強い場合は処置を行います。
4開始から1週間後(治療2回目)
治療開始から1週間の間で問題が無かったかを確認します、薬の投与や副作用の確認、治療の継続に問題がないかを確認します。問題なければ薬を増量し継続します。
5開始から2週間後(治療3回目)
投薬増量してから1週間の間に問題が無かったかを確認します。問題なければ投薬は継続し、今後は1ヶ月に1回程度の通院で治療していきます。
よくある質問
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スギ、ダニ以外のアレルギー性鼻炎にも治療できますか?
治療できません。
現在はスギとダニしか治療適応がありませんのでその他アレルギーに関しては治療できません。 -
舌下免疫療法と従来のアレルギー性鼻炎治療(対症療法)との違いは?
舌下免疫療法は体質を改善させていく治療法という点で違います。
従来のアレルギー性鼻炎療法(対症療法)は、症状を起こす物質の働きや鼻の中の炎症をおさえて症状を和らげます。対して舌下免疫療法は、からだをアレルゲンに慣らしていき体質を根本的に改善させ症状を和らげる治療法です。 -
舌下免疫療法の効果は?
約20%が完治 約60%が改善 約20%が効果なしです。
統計データでは約20%の人で完治が期待でき、約60%が完治には至らないまでも症状が改善したと報告されてます。しかし残りの約20%は効果が見られなかったので全員に効果を保証する治療ではないことに注意してください。 -
通院頻度はどれくらいですか?
1ヶ月に1回程度です。
最初の治療を除き、状態が安定すれば1ヶ月に1回の通院頻度で治療可能です。 -
どれくらい治療を継続しますか?
約3〜5年間の継続が推奨されてます。
舌下免疫療法を3年継続した場合はその後治療中止しても効果は約7年継続。
4~5年継続した場合はその後治療中止しても効果は約8年継続すると言われています。そのため少なくとも3年は治療継続を目標に治療します。 -
治療開始はいつでもできますか?
ダニ治療は年中可能。スギ治療は6〜12月の期間のみです。
スギの舌下免疫療法のみ治療開始時期に制限があります。治療開始可能時期は6〜12月の期間中のみです。スギ花粉飛散時期の1〜5月は症状がさらに増悪する可能性があるので開始できません。 -
何歳から開始できますか?
一般的には5歳から治療可能です。
しかし当院では継続的な服用の管理能力を考慮し6歳から治療適応としてます。 -
治療できない人はいますか?
以下の条件にあたる人はできません。
- スギやダニに対するアレルギーが検査で証明できない方
- 重度の喘息にかかっている方
- 高齢の方 65歳以上の方には慎重な判断が必要です
- 妊娠、授乳中の方
ただし、この治療を継続して行っているうちに妊娠がわかった場合には、そのまま治療を続けることが可能です - 口内炎、歯科治療中の方
- 心疾患、高血圧のある方
- 全身性ステロイド、抗がん剤を使用している方
- 薬の管理や治療内容にご理解をいただけない方
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1日薬を飲み忘れました。
飲み忘れた分も飲んだ方がいいですか?通常通り1日分の量を内服してください。
2日分薬を内服する必要はありません。通常通り1日分の量を内服してください。 -
飲んではいけない日はありますか?
熱があったり、体調不良の日は避けましょう。
また歯科治療中/口内炎などで、口に傷がある場合も避けましょう。 -
薬を中断した後は再開していいですか?
1ヶ月以内であれば再開可能です。
風邪や体調不良で投薬を中止していても1ヶ月以内であればまた再開可能です。
1ヶ月以上長期的に中止していた場合は医師に相談してください。 -
治療中にアレルギーの薬を使用してもいいですか?
いつも通り使用して構いません。
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妊娠した/授乳中の場合どうすればいいですか?
治療継続して構いません。
すでに舌下免疫療法を安定して治療できていれば妊娠中/授乳中でも治療を中断する必要はなく継続で構いません。しかしこれから治療開始の場合はできません。